送電設備を理解する
今回の記事では、送電設備を説明する。
繰り返しになるが、送電分野は「電験合格において必須知識」であることを認識しておこう。かなりの頻度で出題されるからだ。いきなり計算問題をやっても躓くことも多い。特に電験1種。
まずは、送電系統を構成する設備にどのようなものがあるか知っておこう。
送電系統を構成する設備
発電機から発生した電気を需要場所まで送り届ける役割を担うのが「送電設備」である。電気は超高圧→高圧→低圧と需要家に合わせて、電圧の大きさを変電設備により変えて送られる。電圧は高い方が電流値を低く抑えることができ、電線による電圧降下を小さくできる。(よくわからないという声があれば、別記事にします)
送電設備は「超高圧→高圧」の部分に該当する。「高圧→低圧」(77kVから6.6kVに降圧)については、配電設備に該当する。
それでは、送電設備をみていこう。
①支持物(鉄塔)
送電線を支える電柱、いわゆる鉄塔である。送電線が自然災害時においても、倒壊せずに送電線を支持する。送電線をピンと張り続けるための押さえ役にもなる。
電験にはまだ出題されたことがない知識ではあるが、ニュースや報告書等で「鉄塔の耐震評価」をよく見かける。地震の多い日本では極めて重要であるためだ。地盤との強度、風から受ける応力等を考慮して、鉄塔が倒壊しないことを確認している。さらに、万が一倒壊したとしても、他の鉄塔、送電線に影響を及ぼすことがないか等の波及影響の評価も行われている。鉄塔の倒れる範囲を円線図で表し、問題のないことを確認している。今後、電験で問われるとしたら、過去問の流れをみても耐震評価を計算させることはないだろう。しかし、鉄塔の耐震評価がこれだけ注目を浴びているので、鉄塔を設置する上で気を付けなくてはいけないことは押さえておいた方がいい。
②送電線
電験三種では稀に問われるが、硬銅線(HDCC)、鋼心アルミより線(ACSR)が使用される。ACSRの方が導電率は低いものの、軽量で安価、引っ張り荷重も大きいことを覚えておこう。
構造の違いは押さえておこう。硬銅線は、より線としていくつか束ねられ、送電線として使用されるが、鋼心アルミより線は、鋼心を中心にアルミを巻いたものとなっているといった違いがある。
③架空地線
送電鉄塔の一番上に設けられている線であり、落雷を受け止める役割を担っている。直撃雷が架空地線に衝突した場合、落雷による電流は架空地線を伝わって流れ、鉄塔を経由して地面に流れることで逃がすことができる。
この架空地線が設けられていない場合、送電線に雷が落ちてしまう可能性がある。送電線に損傷を与えることになったり、送電線内に雷電圧が流入し、大きな異常電圧を伝搬してしまうといったことになる。その影響の大きさはかなり大きい。
架空地線、耐食性に優れた亜鉛メッキやアルミ覆鋼といった材質で作成されている。
④がいし
がいしは鉄塔と電線との間を「絶縁」するためのものである。よく勘違いをしている方がいるので注意だ。鉄塔と電線を接続してしまうと、地絡してしまう。そのためにがいしは存在している。電気の流れとしては、上部の写真に記載した通り、電線の中を通っていく。また、懸垂がいし、長幹がいしといった種類の違いもあるので、外で見かけた際には見て覚えておこう。ちなみに写真のがいしは「懸垂がいし」である。
まとめ
以上、電力科目「送電設備」の記事となります。
主な送電設備を紹介しました。設備の目的、役割は確実に覚えておきましょう。それが電験本番で役に立ちます。また、少し難しいですが、設備の種類ごとの違いも覚えておきましょう。
例えば「鋼心アルミより線はアルミ線が電気を運搬し、鋼線が引っ張り荷重を受ける。そのため、引っ張り強さは硬銅線よりも優れる」といった問題も過去に出題されています。
耐雷設備に関しては、別の記事で説明します。
また「本ブログで空いた時間に勉強しているので更新してください」といったメッセージを下さった方、ありがとうございました。
勉強資料作成や現場トラブルで10日ほど空いてしまったのですが、今後は毎週水曜日、金曜日、日曜日に更新していきます。見て頂く方が、比較的ハッピーに過ごしているであろう曜日を選定しました。
(自分の所属している組織は「水曜日金曜日ノー時間外」などと謳ってはいるものの、そのようなものは存在していませんが。。。)
余計なことを申しましたが、目標に向かって、共に電験合格への勉強を継続していきましょう。