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【電験完全攻略】火力発電の再熱サイクルを学ぶ(汽力発電の仕組み②)

汽力発電の仕組みを理解する

前回の記事では「汽力発電の仕組み全般説明」として、ランキンサイクルを紹介した。今回は、再熱サイクルについて紹介する。
再熱サイクルにはどんな特徴があるのか、本記事を読み終えたのち、説明できるようになってほしい。

こういった積み重ねは、必ず電験本番で役に立つ。

電力科目の出題範囲

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再熱サイクルの仕組み

再熱サイクルの仕組みを理解しよう。前回同様、イメージを持つために図を見てみよう。


「ランキンサイクルとの違い」にも着目して、自分の知識量を増やしていく
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図1.再熱サイクル

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図2.ランキンサイクル


両者の違いは「☆」設備の有無だ。




ここで2点考えて欲しいことがある。

①何故、ランキンサイクルを改良して「再熱サイクル」を生み出したのか


②「☆」設備は、具体的にどのような役割があるのか

 

まずは①から解説していく。

 

再熱サイクルを生み出された理由

結論から言うと「発電効率の向上のため」だ。

発電効率を向上させることができると、下記のようなメリットが生まれる。


メリット①
「燃料の消費量を減らすことができる」
⇒地球資源の節約になる
発電費用を大幅に下げることができる


メリット②
「地球温暖化ガスの排出量を抑えることができる」
⇒地球温暖化を抑制することができる
⇒CO2排出量が削減に貢献できる(京都議定書やパリ協定という言葉はニュースで見たり聞いたことがあるだろう。これらの内容を簡単に説明すると、各国に厳しいCO2排出量に制限がかけるもので、何としても目標量まで低減しなくてはいけないものだ。)



※ここからはもっと詳しくメリットを解説する。電験2種二次試験用知識になるが、三種受験者も役に立つだろう。興味があれば、読む程度でいい。


「発電費用」について、深堀して考えてみよう。

「発電費用を大幅に下げることができる」とは具体的にどういうことか説明できるようになろう。(箇条書きにして覚えやすいようにしておく)


①燃料消費量を減らすことができれば、燃料の輸送費用を削減できる

<補足>
LNG等の燃料の多くは海外からの輸入だ。石炭であればオーストラリア。石油であれば、アラブやサウジアラビア、カタールといった中東の国々から輸入しており、ホルムズ海峡という日本から物凄い遠いところから大型の船で輸送してくる。


では、LNGはどこから輸入するかというと、原油とは異なり、内戦のリスクもことから中東に依存しないように分散輸入策を取っていて、オーストラリアが全体の3割、マレーシア1割、その他東アジアといった安定して国から輸入している。


※引用元【経済産業省 資源エネルギー庁データ】

https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2019pdf/whitepaper2019pdf_2_1.pdf



ただLNGと簡単にいっても超大型船で1週間かかるそうだ。考える以上に莫大な費用がかかっている。


中型のイカ釣り漁船ですら、1日の操業で10万円ぐらい燃料費がかかる。その何十倍なので膨大だ。



②燃料費が単純に減る。(効率が良くなるので当然)


③発電するために使用する蒸気量が減るので、復水器での冷却費用も減る。


④プラント全体の機器の摩耗量が減り、メンテナンス費用を削減できる。
※発電効率が良くなることで、夜間に停止できる火力発電も増えるのでその分消耗を抑制することができる


⑤ボイラーへの燃料供給は、ポンプの自動運転で行っているので、ポンプの起動回数が減る。
※その結果、電気代が減る。消耗も減るので故障確率が下がる。

 

「☆」の系統は具体的にどんな役割なのか

「蒸気の再加熱」の役割をもつ。

蒸気の温度が高ければ高いほど、蒸気は高いエネルギーを持つ。つまり、タービンをより回す力を持っていることになる。

そのため、高圧タービンで仕事をし、温度が低下してしまった蒸気を再び温めることにより、次のタービンを回すことができるのである。

「☆」の設備名は、そのままの名称「再熱器」である。 

 

まとめ

以上、  【電験2種、3種完全攻略】電力科目「汽力発電の仕組み②」となります。


電験では、幾度となく、出題されてきた分野である。再熱サイクルの図を書けるようにしておくこと。各設備の名称、役割をきちんと説明できるか、今一度確認しておいてください。

電験合格に向け、今日も共に頑張りましょう。

 

次の学習へ進む(汽力発電の仕組み③)

 

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