第1種電気主任技術者試験の合格まで

電気主任技術者試験を合格するまでの勉強を紹介します。電気、機械の知識を配信して、理系の学生や社会人に役立てるようなブログ。

有効電力と無効電力の本当の意味を理解しているか

 

電力には、三種類あることはご存じだろうか。

「有効電力」と「無効電力」、その大元となる「皮相電力」がある。

 

これを正しく説明することは、実は難易度が高い。送電系統を例に説明することとなると、技術者であっても、説明できない人が多い。

インターネットや問題集を探しても、良い記事がなかったので、シンプルにわかりやすい説明を本記事でまとめたいと思います。



まず、それぞれの定義から説明する。

 

定義
*Eは電圧、Iは電流を示す。

 

・皮相電力(単位:VA(ボルトアンペア))
 S=EI

・有効電力(単位:W(ワット))

 P=EIcosθ

・無効電力(単位:var(バール))
 Q=EIsinθ


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わかりやすく説明すると、
ある回転機器を動かしたいとする。(細かな損失は除く)

電源を繋いで、電圧E電流Iで、回転させたときに、皮相電力分のエネルギーが、そのまま回転エネルギーになるかというと、

実は違うのである。

機器を動かすエネルギーとしては、有効電力分のP=EIcosθしか伝わらない。その理由としては、無効電力が存在するからである。



 

では有効電力とは何か。

引き続き、ある回転機器を動かしたい場合で考えてみる。
回転機器はコイルで構成されているので、抵抗成分とインダクタンス成分を持つため、下記のような回路図になる。


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回転させるためのエネルギーになるのは有効電力だが、その理由としては、下図のグラフで説明できる。

下記のグラフの横軸は実数領域、縦軸は虚数領域を示していて、実数成分が、回転させるためのエネルギーになるのである。それを有効電力と定義しているのである。


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【さらに細かく知りたい人向け】
以下は、細かく知りたい人向けに実際の計算例を載せました。
不要な人は読み飛ばして、「送電系統での無効電力」から読んでいただければと思います。


負荷に対し、交流電源を接続する場合で考える。わかりやすいように、単相で考える。

電圧V:10[V]、抵抗R:1[Ω]とすると
電流Ⅰ=V/R=10/1=10[A]
皮相電力S=VI=10×10=100[VA]


〇負荷が抵抗のみの場合
交流電源の電圧と電流は同じ位相のため、位相差は0°。
よって、単相有効電力P=VIcosθ=10×10×cos0=100[W]


〇抵抗ではなく、コイル(インピーダンス10[Ω]の純インダクタンス)を接続した場合
電流Iは、抵抗の場合と同じ10[A]
単相皮相電力Sも抵抗の場合と同じ100[VA]

しかし、負荷が純インダクタンス(コイル)のため、電流は電圧より90[°]遅れる。
そのため、単相有効電力P=VIcosθ=10×10×cos90=0[W]


【結論】
上記の計算結果から、同じ電圧電流の大きさにも拘わらず、有効電力に違いが生じることがわかる。

コイルの場合、コイルに電流が流れる事で、磁気エネルギーがコイルに蓄えられる。半周期後に、交流電源の電圧の向きが変わり、コイルに蓄えられた磁気エネルギーは、電気エネルギーとなり、電源側に返る。

電源が送ったエネルギーがコイルに蓄えたのち、電源に返ることから消費エネルギーとしては0。(コンデンサも同様のことが言えて、電荷(電圧)を充電する事で、静電エネルギーになる。)

わかりやすいので、参考までに。
下図からは、平均の電力が0であることがわかる。


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送電系統での無効電力について

送電系統において、無効電力とは重要な役割を持つ。
鋭い人は、もうお気付きになっている人がいるかもしれない。

上記の記事から、電動機負荷が多い現在の社会において、無効電力の調整をしなくては、系統全体が「遅れ」となることに気付くだろう。

遅れも進みでもなく、力率100%に近づけておかなくては、発電効率が大きく下がってしまう。つまり、余計燃料が必要になってしまうことを示している。

有限である燃料は、大切に使わなくてはいけない。これは、人類として最低限努めなくてはいけない責務である。




 

以上が「有効電力と無効電力の意味」の記事となります。

 

有効電力と無効電力を学ぶことで、系統全体の運用についても理解できたかと思います。電験3種だけではなく、それ以上の資格においても、必要な知識ですので、理解しておくと役に立つかと思います。

合格に向け、一つ一つ理解していきましょう。